青い雨 blue rain

香港 街角それぞれのストーリー

挿話- 上街

朝からぐずっていた天気も昼頃になると少しずつ晴れてきた。初夏の太陽に明るく照らされた街には家族連れ、カップル、学生たちが溢れている、そのほとんどが黒いTシャツを着て白い花を持っている。MTR駅に向かって歩いている人波は家族連れ、小さな子供連れも多い。そう今日は父の日そして六十六デモその日。駅周辺では、高齢のカップルが白い花束をもった孫娘に”気を付けていってきてね”と声をかけ見送りをしている。今日という日が、平和に無事に終わってくれることを世界が見守り、家族皆が願っているそんな日。午後3時にビクトリアパークを出発したデモ参加者の数は、主催者側の発表で200万人。世界をみてもこれほどの規模のデモが過去あったのだろうか。整然とした黒い人波がヘネシーロード六車線をいっぱいに埋め尽くし、硬く黒い氷河のごとく一歩ずつゆっくりと金鐘政府庁舎ビルへと向かっている。美しい夕暮れ

f:id:koahk:20190616163620j:plain