青い雨 blue rain

香港 街角それぞれのストーリー

回想6- 再びデモ前夜

清水湾のビーチに寝ころびながら、家族連れ、カップルや若者グループが午後の一時を過ごしている光景を遠巻きに眺めている。そして、それぞれボーティングパーティが開かれているのであろう、沖には20艘以上のクルーザーが停泊している。平和な風景と本格的な夏の香り。

この爽やかで平和な光景とは裏腹に、私の頭の中はずっと別のことに支配されている。このビーチで寛いでいる人が明日のデモに参加するのだろうか・・・ひたすら日焼けに専念中の髪を金色に染めている二人と やせ型秀才風の学生との不思議なチーム三人組。日焼けしたTATOOな背中を露わにしたカップルは、彼女の知人がクレジットカードをなくしたという話を、アサヒ・ビールを飲みながら遠い目をしている彼氏が聞いている。留学生の集まりだろうか多国籍男女にぎやかなチーム、四世代で来ているのであろう大所帯家族連れ、みなそれぞれに楽しい時間を過ごしているのだろう、その表情からはこの町の未来への憂いについては何も感じ取れないが、嵐の前の静けさのようにも見える。そしていつもは大人しい清水湾の海が今日はだいぶ波だっているようにも思える。

警察からはまだデモ開催の許可が出ていない。明日は前回のものより大きなデモが計画されている。六・十二で警察がデモ相手にとった行動、そして政府がデモ隊を“暴徒“と言及したことが各方面で批判されている。デモに参加する人は黒いシャツをと告知もあった。前回は白で今回は黒。なにか悪いことが起こらなければ良いと思っている。何か起こってはいけない。今の政府のデモ隊への対応をみているとそんな気持ちになる。

 

そして、本日午後、逃亡犯条例改正案の提出延期を政府が発表した。

 

f:id:koahk:20190615205725j:plain