青い雨 blue rain

香港 街角それぞれのストーリー

回想4‐ 離島

 

 

田舎の中学校時代の友人と香港に来ている。田舎をでて別々の大学にいった二人は時々、こうして旅行したりお互いの近況を報告しあったりしているわけだ。昔からいつも思うのは、この二人がつるむとどうしても主流の場所から別の方向へ流れていくそんな傾向があるのだ。今回も二人とも初・海外、初・香港旅行だというのに、すっかり定番スポットを外し、なぜか香港島からフェリーで30分のところにある離島・坪州島に来てしまっている。明日には日本に帰国する予定の二人、異国の小さな漁村ですっかりやることがない二人は 海沿いの民宿、パイプベットに寝転んでテレビをみている。

2019年6月12日・水曜日。テレビでは、香港島中心部で今まさに行われている反送中デモの2回目の衝突。市庁舎前で催涙ガスとゴム弾装備の警官隊と、かたやヘルメットに雨傘装備のデモ側とが激しくもみあっている様子が繰り返し映されている。日本のヤフーニュースによるとこのデモを手動しているのは若者・特に大学生というようなことも言われている。

いまこの同じ時間に香港にいる大学生で、離島の古ぼけた民宿でパイプベットに寝転んで呑気にテレビみている輩と、かたや香港の未来を信じて市民103万人デモを主導、 今こうして警官隊ともみ合っている黒縁眼鏡の小柄で武骨なリーダーがいるわけだ。これはどう考えても おかしい。やはり俺たちもこのデモに参加しないといけないのでは?という気がしてくる。男ふたり漁村でやることが無くて暇だからか? いや若者が未来を信じて政府に抵抗している姿が単純に心打たれたからか?香港にはただ今の始めてたまたま近かったからというだけで旅行にきて、そしてこのデモがなんのためのデモなのかもよくわからないのに、デモに参加するのか?怪我をしている人もいるようだ、平和的な解決方法はないか?考え出すといろんな葛藤はあるのだが・・・とりあえず、フェリーにのって香港島に戻ることにしたんだ。フェリーからみる島は夕日に照らされて吸い込まれるくらい綺麗だった。若者は何に抗いたいのか。いや若者だけじゃない、デモ側にはたくさんの女性や中年高齢様々な人がいた。

 

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